昨年は二度、富山県高岡市を訪れる機会を得た。
初回は豪雪のため諸事変更となりとても城歩きなどやってる場合ではなく見送ったのだ。
で、年末に再度機会を得たので、加賀前田家二代目、前田利長の居城へと向かった。
今回第82景は高岡城からのカメ城歩きである。

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高岡城土橋)  富山県高岡市古城→Map                              日本百名城No.33
         築城主:前田利長 築城年:1609年 梯郭式平城(撮影日2015年12月14日)

バシッと決めるべきトップの写真が、あれどうしちゃったんですか?っていう枚に
これは本丸と二の丸をつなぐ土橋で、その両面に積まれた石垣を撮ったものだ。
実はこの土橋が高岡城で数少ない現存の遺構なのだ。
もちろんこれを見にきたので、下へ降りて近くからまじまじと観察してきた。
しかし一般の観光客は気付くこともなく通り過ぎてしまうだろうな、きっと。

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前田利長
加賀前田家二代は前田利長。慶長3年(1598年)初代利家の後を継ぎ藩主となるが、
慶長10年(1605年)には隠居し富山城へ移った。
藩主になってわずか六年少々で、当時まだ十三歳だった三代利光(利常)に家督を譲って
隠居というのは、天下を取った徳川家からの圧力があったとされる。
二代秀忠に将軍職を譲り徳川家安泰を謀る家康による前田家牽制によるものだろう。
ちょっと話が逸れたが、その富山城が1609年火事で焼失してしまったので、利長は
射水郡関野に新城を築き関野を高岡と改め城下町の整備にも努めた。
よって利長は高岡の開祖である。縄張り(設計)は当時前田家預かりの高山右近
1614年利長死去の翌年には元和の一国一城令により廃城となった。
現在は高岡古城公園となり、水堀と桜が美しい市民憩いの公園である。

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本丸
城跡に立てられた高岡市による解説では、
「高岡城跡は、日本の築城技術が高度に発展した慶長期の縄張りを完全な形で残しており、
近世初頭の城郭構造を知るうえで貴重な遺構として全国に知られています。」
はい仰るとおりではある。外堀一周して全ての郭を一通り歩いてみるような一種の変人
(私の様な)には確かにそうなのだが、一般観光客が高岡城を見に来たらどうだろう?
ここが本丸跡ですって云われてもね、ときおり地元のおじさんがやってきては、ジョギングやらウォーキングする姿が寒かった(12月だし)

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石垣の石  明治になって和田川の護岸工事のために高岡城の石垣の石を使ったそうだ。
それを最近引き上げてきて並べたとある。石庭風に置いて13個あるというがよく分からなかった。

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先ほど遺構が少ない高岡城と云ってしまったが、もちろん水堀も当時の形状を残す遺構で
ある。花や新緑紅葉と季節の移り変わりを愛でるには良いだろう。

ほかにも利長の菩提寺、瑞龍時へも行ってみた。
山門、仏殿、法堂など国宝指定の素晴らしい古建築だった!
しかし今ひとつPRが効いていないのか人も疎ら(それも良いけど)惜しいなぁ。
あと、なんで開通した北陸新幹線がJR高岡駅ではなく、1km程しか離れてない新高岡なの?
しかも連絡が悪すぎ!このくらいぶきっちょだとかえって可愛く思えてくるから不思議。
人を呼んで商いしようって気概が感じられないのだな。 
ま、本家(金沢)にはなにやっても勝てん、と400年思い続けてきたのかな…….。
 
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高山右近 像 
話を城に戻して、高岡城の縄張り(設計)は高山右近による。
戦国のキリシタン大名といえば真っ先にその名が上がる高山右近。
秀吉のバテレン追放令で棄教を求められると、当時の領地だった播磨明石も財産も
全て放棄してしまい、一時小西行長の保護で小豆島や肥後に匿われたが、1588年
(天正16年)からは前田利家の加賀前田家預かりの身となった。
二代利長にも守られながら前田家の相談役として暮らした。金沢城、富山城、この高岡城の
設計に関わったのはそういう経緯からである。

それにしても高山右近、信仰の力とはいえ権謀術数渦巻く戦国の世をただひたすら信念を
貫き真っ直ぐ生きたわけだ!人望も相当に厚かったようで、そうでなければ黒田官兵衛とか
蒲生氏郷などの武将をキリシタンに改宗させるなど無理な話だと思う。
信長や秀吉に逆らっても消されなかったし、ある意味戦国最強武将で、人に畏怖の念を
憶えさせるようなオーラを発していたのではなかろうか!
最後は家康の国外追放令(1614年)をうけマニラに送られ翌年死去、享年64歳という。
戦国ものの脇役くらいに思っていたが、かなり興味がわいてきた……。
というやや脱線気味になってきたところで、枚数も尽きたようだ(そんなもんは無いが)

では最後は「高岡市も、もうちょっと頑張ってみたら」で締めておきたい。
いろいろ愚痴ってみたが、そんな高岡が結構好きになってしまったのも事実。
魚も旨いし、せっせと昆布じめやってるところが可愛らしいぞ!
また近々寄ってみたい....と本気で思っている。

じゃぁ また