20代に何度も旅をし、時にはひと月ふた月と滞在したこともある北海道。
ただ今回の旅の目標であるアイヌのチャシというものを実際に見たことはなかった。
ではそれを見に、久しぶりの北海道は根室へ向けて出発!!!
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オンネモトチャシ(チャシ跡土塁)北海道根室市温根元→Map  日本百名城No.1
築城 : 16~18世紀 築城主 : アイヌ民族 丘先式チャシ (撮影日:2016年9月)

城跡を巡っている人達にはすでに知れ渡っている「日本100名城」というリストがある。
2006年、日本城郭協会が全国の城跡の中から、選定基準を満たした100城を発表。
翌2007年から100城スタンプラリーも開始され、いまでは城巡りの指針として広く
受け入れられている。そのリストの最初、No.1に登録されているのが今回の旅先、
「根室半島チャシ跡群」なのである。

チャシとはアイヌ民族によって築かれた「柵囲い」を意味する砦、城跡の総称で、
砦以外にも祭祀の場、集会所、漁の見張り場など多目的に使われていたものである。
北海道、千島列島、樺太から東北地方にかけてと広く分布し、道内には500ヶ所あまり
が確認されている。特に根室半島には32ヶ所のチャシ跡が集中しており、うち24ヶ所が
「根室半島チャシ跡群」として国指定史跡となっている。

根室市内では、現在2ヶ所のチャシ跡が観光用に整備されている。その一つがガイドブック
などに紹介されているこのオンネモトチャシである。温根元湾の西側に突き出した岬の
先端部分に盛り土をして平坦地を造り、堀で区画している。実際に使われていた頃には
柵で囲い、居館なども建てられていたようだが、今は盛り土と堀の跡が残るだけである。 

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オンネモトチャシ
温根元漁港側から見たチャシ。岬の先端部にあって盛土が二重になっている様子が分かる。
根室のチャシはそのほとんどが海岸の崖の上に半円形や角形の平地を造り、周りを柵で囲う
「面崖式」または「丘先式」という形式である。
さらにGoogle earthで見ておくと丘先式であり面崖式でもあることもよく見えてくる。
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折角の北海道らしい風景なので、国道からの順路を見ておこう。案内看板なども小さなもの
なので、入口を見落とさないように!ポツンとおかれた貨車に城跡の立て看板が目印。
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海岸方向へ向けてどんどん進む。
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前方オホーツク海には国後島や歯舞諸島の島影も見える。小さく見える建物は
野鳥観察用の小屋で、そこを右へ折れてさらに進むとチャシに至る。
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岬の先端部分に築かれる丘先式のチャシに到着。国道脇の駐車場からは10分程度。
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チャシ跡から温根元漁港方向を見る(写真1の逆方向)
後ろに見える塔は納沙布岬のオーロラタワーで、最東端の地であることがわかる。
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江戸から遠い日本最東端の地、直線距離でもほぼ1,000km!その道のりを思いながら、
誰もいないチャシ跡に一人立つ時、こんな境界標の「史跡」の文字にも、しみじみと
した旅情を感じてしまうのであった。
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つづいて翌日、もう一つのチャシ跡「ノツカマフ1・2号チャシ跡」
Google earthで見ておく。こちらもノツカマフ湾に面した崖上に1号と2号、
ふたつのチャシが残る。ノツカマフチャシ→Map
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江戸期にはこの地域を支配した和人とアイヌ民族の間で争いが起き、松前藩により
アイヌ民族が処刑されるという悲しい歴史の舞台となったチャシである。
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こちらも昨日と同じく、国道からの入り口を見落とさないように。
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ノツカマフ1号チャシ
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面崖式で半円形の壕がふたつ連結した構造となる。

100mほど北側の2号チャシへ
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ノツカマフ2号チャシ
壕の跡は深さ50cmほどと浅く見落としそうになる。
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……と、以上2ヶ所が現在訪問できるチャシ跡となる。
もちろん根室半島には、その他20数カ所のチャシ跡が存在するわけだが、現状アクセス案内も
なく、現地の整備も十分には出来ていないものと思われ、今回はここまでとしよう。

ちなみに私自身はスタンプラリーというものはやっていない。
城跡を歩いて現地をしっかりと実感し、さらに写真撮影に注力していると、
スタンプを押すためにその置き場所を探したりする時間がないのである。
100名城、根室半島チャシ跡群のスタンプは現地のチャシに置いてあるわけではない。
JR根室駅のすぐ前、根室市観光インフォメーションセンター内のカウンターあるので、
ラリー挑戦中なら忘れず押しておこう。
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北海道へはまた行く機会もあると思う、根室以外のチャシに立ち寄ることがあれば、
また追加で紹介していきたい。
と、以上が日本列島最東端の地からの酔夢譚である。実際、花咲蟹とか北海シマエビといった
美味い海の幸ばかりで、ついつい酒も進み、ホンマに城跡酔夢譚であったのだ!!!

ではでは